2017-07-01から1ヶ月間の記事一覧

酷暑。(尾崎放哉)

静かなるかげを動かし客に茶をつぐ 尾崎放哉 英語では I move a quiet shadow and pour a visitor tea. とでもなろうか。ただこれだけの簡潔な自由律俳句のなかに何という澄み切った境地が現れていることであろうか。

まことに暑い(尾崎放哉)

友を送りて雨音に追はれてもどる 尾崎放哉 英訳してみると、I send a friend, and I am pressed by wind and rain and come back. とでもなろうか。この自由律俳句には無限の哀愁がある。「もどった」後は彼は友のことをあれこれ考えていたに違いない。

少雨。(モルモン書)

見よ、主の日が来る。憤りと激しい怒りを伴う容赦のない日が来て、地を荒れ廃れさせる。そして主は、そこにいた悪人を滅ぼされる。「モルモン書」 モルモン書は旧約聖書に似ている。そこにいる神は怒りの神である。人間はただ従いへりくだるしかない。何と言…

雨。(テリーホワイト)

マックは煙草を地面に落として踵で踏みつぶした。『おれもおまえさんといっしょだと、そう不安を感じないんだ』 テリーホワイト「真夜中の相棒」 もとペーパーブックに掲載されていたこの手の小説、ハードボイルド、クライム・ノアールというジャンルは決し…

梅雨。(モンテーニュ)

結局、われわれの存在にも、事物の存在にも、何一つ恒常なものはない。われわれも、われわれの判断も、そしてすべての死すべきものも、絶えず流転する。したがって確実なことは一つとしてたがいに立証されえない。判断するものも、判断されるものも絶えざる…

時々、雨(デリダ)

正義とは不可能なものの経験である。 デリダ「法の力」 解決不可能なアポリアを経験することそれこそが正義の経験なのだというデリダの主張は分かるような分からないような気もする。しかし正義とはこのバタイユ的な不可能性を生きることに他ならない。そし…

小雨(シュタイナー)

霊学には単なる悟性だけでは判断しえぬような部分も当然存在する。けれども悟性だけではなく、健全な感情もまた真理の判定者となることができる。 シュタイナー「いかにして超感覚的世界の認識を獲得するか」 ここにおいてシュタイナーはやや譲歩しているか…