尾崎放哉

酷暑。(尾崎放哉)

静かなるかげを動かし客に茶をつぐ 尾崎放哉 英語では I move a quiet shadow and pour a visitor tea. とでもなろうか。ただこれだけの簡潔な自由律俳句のなかに何という澄み切った境地が現れていることであろうか。

まことに暑い(尾崎放哉)

友を送りて雨音に追はれてもどる 尾崎放哉 英訳してみると、I send a friend, and I am pressed by wind and rain and come back. とでもなろうか。この自由律俳句には無限の哀愁がある。「もどった」後は彼は友のことをあれこれ考えていたに違いない。